第三話  『草の庵』

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草の(いおり)、という言葉が浮かんだ。 天を仰ぐ。 月の光が竹林にこぼれ落ちる。 あたりはしんと静まり返っている。 その様子に心が震えた。 時の止まった異世界に迷い込んだのではないかと。 ――この時のことは、思い出しても不思議でならない。 自分のしでかした大事にさいなまれるのは、半刻もしてからである。 心が壊れてしまわないように、何かが守ってくれたのだろうか。
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