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「十種神宝(とつかのかんだから)を用意しろ」
「――発動しましょうか?」
怯えを隠そうともせず大幣が口にした。
「ほかに道はない」
わが国は島国だ。
逃げるところなどない。
なんの罪もない民の命が奪われる。
攻め寄せる側も、退路を断たれば全滅の憂き目に遭いかねないことを承知の上での侵攻である。
奴らは、それほどまでにわが国の修験者の呪力を怖れている。
戦いになれば恐怖にかられ、誰彼かまわず殺戮するだろう。
事実、兵などいるはずもない海岸線に次々と火の手があがる。
大和の軍勢が、殲滅戦を仕掛けてきていることは誰の目にも明らかだった。
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