臆病な金

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臆病な金

見上げる月よ この身に受ける夜風もお前には届くこともなく お前は時には夜雲を纏い、時には数多の星を従えて 在るとも無いとも、そして形を違えども、常に我に寄り添う お前は金であり、銀であり 金は我に捌け口を、銀は我に満たす光で喜びを だが、時には金は我に孤独と不安を、銀は我の磨いだ牙を突き刺したいとの欲求を 本当のお前ははたして いや、お前には愚問なのだろう 見上げる月よ お前は我に問う 問う者は問われるのもしかりと言わんばかりに 「さあ、見上げる人間よ。お前は金なのか? それとも銀なのか?」 我は躊躇なく答える 「臆病な金だ」と 今宵見上げる満月は、我には金であり銀であり そして、お前にとって我はいつも臆病な金でしかいられないのだ
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