49人が本棚に入れています
本棚に追加
濡らす陽
絶望の陽に濡れる。
前髪を滴り落ちた光が、渇いたアスファルトに染み入る。
何を探すか前行くカラスに導かれるように。
陽を浴びて艶めく黒にはエメラルドがあり、アメジストがあり。
けっして濡れることなく、埋もれてしまうこともなく。
その黒で傘を作ったならば、僕も濡れずにいられるだろうか。
ひとときでも、寒さに凍えることもないだろうか。
そして、お前のように陽を享受できるだろうか。
絶望の陽に濡れながら、僕はカラスに導かれる。
最初のコメントを投稿しよう!