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私の手の中で眠ったあなたへ
あなたと一緒にいたのはたったの2年間だったけれど、愛するには充分な時間でした。
ある朝目覚めると、あなたはぐったりして倒れていました。急いで手のひらに乗せてみると、体温が冷たくて、辛そうに呼吸をしていました。
私は、あなたを暖めるようにそっと包み込みながら、気がつくと涙が溢れてきました。
あなたは1度大きく咳き込んだ後、苦しそうな声を出しながら暴れました。苦しそうにもがくあなたを見て、私は耐えられなくなりました。そして、「苦しまないで、辛い思いしないで。早く楽になって。おやすみなさい」と、願ってしまいました。
あなたが苦しんでいる時間はきっと1分くらいだったけど、私にはとても長く感じました。そしてあなたは、息を引き取りました。
本当は、苦しまずに、痛い思いをせずに眠って欲しかった。そして、いくら辛い思いをして欲しくないからと言って、あなたの死を一瞬でも願ってしまったことをずっと後悔しています。
私は、あなたが嫌いです。
あなたと一緒に過ごした2年間も、脱走したあなたを深夜3時まで探した時間も、あなたに噛まれた傷跡も、あなたと写った写真も、あなたの最後も、思い出す度に胸が苦しくなって涙が溢れてきます。私一人を残して、こんなに辛い思いをさせるあなたが嫌いです。
そして、愛しています。あなたが大好きです。
この苦しみをあなたのせいにしたいけど、本当は1度もそんなこと想ったことはありません。
私と出会ってくれてありがとう。あなたといた時間は、とても幸せでした。
あなたの家族より
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