わんわん消防隊

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 夜間の闇色は小さな火も見つけやすい。通報犬(つうほうけん)の直近では、マンションのゴミ捨て場で、火災が発生し、煙が上がっていた。  不幸中の幸いであった。飼犬通報(かいいぬつうほう)により、消防隊による発見が早かったのだ。  ベテラン隊長が指揮する、消防隊の的確な消火作業により、ボヤで消し止められた。燃えたのはゴミだけで、怪我人もなしだ。  赤い回転灯の光は、深夜、建物の壁や黒いアスファルトの道路を、不気味に照り返す。  心配そうに近隣住民が寝巻き着の上にガウンなどを羽織り、集まってくる。消防車のAIが、スピーカーから「火は消えました」と告げ、安心させる。  無関係な野次馬を駆けつけた警察官が、現場に入らないよう、規制線を張っていた。  笑って、スマホで火災現場を撮影している一部の野次馬は、マンションの住人などが嫌そうに見ていた。近隣住民同士が、喧嘩になる不幸をさけるよう、警察官たちが目を光らせる。
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