わんわん消防隊

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 それから三年が経ったある日。全国の消防署に政府より通達があった。三年間の消火・救助活動における、全国の消防士の行動を記録にもとづく通達だ。  人間の消防士は“危険な業務”を行わず、最新型のオートマチック消防車で行うことを、義務付ける内容であった。  新型消防車の乗車定員2名だ。車内からAIが放水銃付きのアームなどを、巧みに操作するのだ。必要に応じて、消防車の後部に乗せる消防犬(しょうぼうけん)が、消防士の指示に従い、救助などをする。  新型消防車は耐熱・耐爆装甲だ。赤い消防車内にいる限り、人間も犬もほぼ安全だ。人間の消防士が消防車の外に出ることは、極めて少なくなるだろう。  無論、消防士は厳しい救助などの研修を終えている。万が一、消防士自らが現場で活動する事態に備えて、毎日の訓練は欠かせない。  全国の消防署に政府から補助金が出ることにもなった。古くなった消防車から、順次、新型オートマチック消防車に切り替えられる。
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