たばこ

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 夏。  私たちの関係は順調だった。思わず告白してしまったあの日、彼は連絡先の交換を承諾してくれた。駅で連絡先を交換し、何度かメールでやり取りをした。3週間ほどそんな日々が続いたある日、高校から少しだけ離れた喫茶店に呼び出された。  「付き合おうか」  そっけなく、だけど優しく言う彼に、「はい」と返事をした。返事を聞いて、私を優しく抱き寄せた彼からは、ほんのりとたばこの匂いがした。涙でにじむ視界の中で、彼が優しく微笑んでいるような気がして、この幸せがずっと続けばいいと、心の底から思った。
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