たばこ

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 冬。  クリスマスに、イルミネーションを見に行って、居心地の良いお洒落なカフェで、一緒にご飯を食べた。「高校生だから」と私のことを気遣って、ご飯の後すぐに、家のそばまで送り届けてくれた。  「もうちょっと、一緒にいたかった」わがままを言う私に、困ったように笑って  「来年は、もっと長くいられるようにしよう」  と言って彼がしたキスは、私には少し早い、ほろ苦い大人の味がした。抱き寄られたときの腕の力強さと、優しい体温。「来年」一緒にいる未来を考えていてくれるのだというその事実に、なんだか少し泣きそうになった。
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