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季節は巡り、彼と出会ってから3度目の、――彼と別れて2度目の、春が来た。
私は、大学進学を機に地元を出た。進学先の東京は人が多く、サラリーマンも多いせいか、電車の中はいつもたばこの匂いがした。
だけど、もう、涙は出ない。2年という月日の中で、私は少しだけ強くなった。一人で何度も涙を流して、淋しい夜を幾度も超えて。
「たばこの匂い、嫌いなの」
と、笑って言えるようになった。彼のことは、今もまだ、たぶん好きだ。もしまた彼に会えて、「もう一度つき合おう」と言われたら、弱さの残る私は思わずうなずいてしまうかもしれない。
――だけど。いや、だからこそ、私は強くなって、うんときれいになって、彼なんかじゃ手の届かない場所まで行って、彼を見返してやるって決めた。
そしてもし、彼に会ったら、笑顔で言い放つのだ。「私を振っちゃったこと、後悔すればいいよ」と。
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