わからない

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 わたしのランドセルは、黒色です。  おかあさんが、「今は自由な時代だから、あなたが一番好きな色を選んでいいのよ」といったからです。  わたしは、小さい頃から赤色があまり好きではありません。でも、おばあちゃんとおじいちゃんは何かものを買うたびにわざわざ赤色のものを買ってきます。かばんも、靴も、ハンカチも。ポーチも、筆箱も、上靴入れも。 そして、わたしが黒のランドセルを背負っていると、顔をしかめて言うのです。「女の子なら、赤色を持ちなさい」と。わたしは、大きくなってもこのことばの意味が分かるようになるとは思えません。  おじいちゃんとおばあちゃんのことは大好きです。おじいちゃんはいつもたくさん遊んでくれるし、おばあちゃんの作る料理はとてもおいしいです。  でも、「女の子なら赤を持ちなさい」と言っている二人のことは好きじゃありません。「女の子は赤を持て」なんて、一体いつ、だれが言ったんでしょうか。  
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