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唐突に、彼女は僕にキスした。
意表を突かれた事もあるけれど、その行為自体が実に十五年ぶりで心臓が張り裂けんばかりに鼓動を打った。
「な……い、いきなり……」
「背中流してあげるよ。座って」
もうすっかり彼女はその気になっている……とは言い難かった。あまりに事務的な口調に、僅かながら気を落とした。
家にある風呂用の腰掛とは違って、前後を横断するように溝の入った椅子に座って、僕は背中を丸めた。
僕が決意した事とは言え、実際にこうして実際に直面して見ると後悔の方が大きかった。
ボディソープを充分に泡立てた友香ちゃんの手が、僕の背中を上下に這っていた。その手が今度は前まで来て歳の割には鍛えてある方の腹を、さすった。
そして、泡を取り直した友香ちゃんの手は、存在価値の無かった乳首に触れた。
まるで電撃が走ったような衝撃が身体を駆け抜けて、思わず肩を震わせた。
「どうしたの?」
耳元で意地悪く友香ちゃんが囁いた。まるで弱点とでも知っていたように。
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