七月十三日

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七月十三日

 この日の僕は前週にも増して緊張していた。  恐らく、上手くやれなかったせいだろう。  そうなると今度はED……つまり勃起すらしなくなるという心配もあったが、そうはならない事を願っていた。  この日も池袋のサンシャインだった。  服が欲しいという事で一緒に買い物に行くのが、友香ちゃんの今回の希望だった。  彼女は一晩の自分の価値を『三万円』と決めていた。  少女の身体と法の外で一晩を共にする。それが安いのか高いのかは風俗にすら行った事の無い僕にはわからなかったけれど、少なくとも友香ちゃんにはもっと支払っても良いと思っていた。  けれど、『三万円』なのだそうだ。  それが売春を斡旋している友達グループでの決まり事らしい。  社会には法が、会社には社則、学校には校則といった具合にどこにでもルールは存在し、それは守らなければいけない。  売春斡旋という違法行為の中でもそれは同じなのだろう。  あるいは、その少女たちには違法という感覚すらないのかもしれない。
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