七月十三日

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 とはいえ、僕はその斡旋グループに関与して友香ちゃんと知り合ったわけではない。  その出会いはどうしようも避けられなかったわけで、運命とも言って良いだろう。  毎週土曜日という、グループが動き出す時間を、僕はこれから毎週友香ちゃんを買う事で他の男との接触を避ける事が出来る。  いずれ来るであろう、『彼氏』という存在なら相手にもよるけれど許せる。  けど、見知らぬ中年相手に売春は頂けない。  無趣味の僕は他に金を使う道も無かったからこれで良かったとも言える。  今日も、待ち合わせの十分前に友香ちゃんはやって来た。 「何か好みのものがあると良いね。夏服のセール狙い?」  足取りの軽い友香ちゃんに僕はそう言った。 「ううん。今度友達とプール行くから水着」 「友達って……例の?」  売春グループの友達とプール。あまり良い予感はしなかった。 「違うよ。あの子たちはあんまりそういうの好きじゃないんだって。ほら、やっぱりどう見ても未成年だから煙草とか吸えないしって」 「煙草……」  罪に罪を重ねるのか……。 
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