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七月五日
その日の僕は酷く緊張していた。
一体どんな顔をして会えばわからなかったのだ。
待ち合わせは池袋のシネマサンシャイン前。
というのも、この日彼女の希望で映画を観る事になっていた。前から観たかった映画が、この日にようやく公開されるという事で一緒に行く事になっていた。
アニメの映画で、僕は観た事もないとしても、映画自体を楽しめるかは問題ではない。
彼女が楽しめればそれでいい。
本当は上映開始の一番早い時間に行きたかったらしいのだけれど、どうしても友人との約束を断れずに断念していた。
だったらその友人と行けば良いんじゃないかと提案したけれど、その友達にはアニメが好きとは言っていないらしいから行けないとの事だった。
僕にはそんな隠し事はしなくて良いと思ってくれている事は、見知らぬ友人への優越感になった。
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