七月五日

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 僕はそんな人間だ。  映画を楽しんでその向かいのファミレスに向かった。  時間も時間だけにしっかりステーキを注文して夕飯にする僕に対し、友香ちゃんは暑くて食欲が無いとチョコレートのパフェを注文していた。  スマホでSNSに書かれているであろう映画の感想を見ている友香ちゃんの表情が一喜一憂するのを見ているのが、少しばかり面白かった。 「なに?」  僕の視線に気づいた友香ちゃんが言った。 「なんでもないよ。映画面白かったね」 「でも本編観てなくない? ちゃんとアニメ一話から全部観てよ。Blu-ray 貸すから」  貸すからと言われても、正直そんなに何話もアニメをじっくり見る時間など僕には無かった。  特に趣味は無いにしても、仕事が終われば家に帰りご飯を作って食べたり掃除や洗濯もある。  それは彼女もわかっているから、強要はしなかった。 「わかった。時間を作るよ。すぐに全部は観られないかもしれないけど、ちゃんと最後まで観てみよう」  なによりも、それが彼女の一部を理解するという事になるのだ。
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