真夏の決闘!

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── この世に生を受けて早12年。 ワタシにはどうしても許せないものがある。 そう。奴らはバレンタインやクリスマス、果てはハロウィンと言ったアニバーサリーに、降って湧いたように大量に出現する禍々しき奇行種。 スイーツ手作りしてみたんだけどー、これ食べて系女子だ。 ちなみに言わずもがな奴らのメインターゲットは異性だが、高確率でカムフラージュとして我等クラス女子を巻き込み「みんなにお裾分け」の体でくそ不味いクッキーだのガトーショコラ、レアチーズタルトの類を配りまくるというハタ迷惑な行動に及ぶ。 奴らの目的は一つ。 私って料理も出来るし、女の子らしいでしょアピールである。 要らねえ。いやマジ要らんから。 大体「甘さ控え目」とか言って、毎回味薄いんじゃ。甘いのが嫌いなら菓子など作るな。 普通にメシを食え、メシを。 特に度し難いのは、同じクラスの笹原萌。 ふわふわカールの長い髪に、男受けしそうなロリッ子口調。 小学6年生でありながら、事ある毎に、ん〜と小首を傾げて不思議ちゃんアピールを付けてくるというオマケ付きの、今から立派に将来が不安な筋金入りの面倒くせー女だ。 奴の脳内では、ユルふわ不思議ちゃん+お菓子作りが趣味=守ってあげたい可愛コちゃんという図式が出来上がっているのだろうか。 いや。殺意しか芽生えないのだが。 クラス男子も、こんなクソビッチちやほやして褒めそやすなよ。 だからいつまでたっても、奴の勘違いが治らないんだっつーの。 それでいて「光希(みつき)ちゃん、もっと髪伸ばして女の子っぽい格好したら良いのにー。 リップ持ってる? 髪セットしてあげようか? 光希ちゃんはスタイル良いし可愛いから、雰囲気変えたら絶対にモテると思う!」 むにっ、と人の手を握り、うるうるお目めで言って来やがる。 悪かったな! 非モテ女で! スニーカー・ラブだよ! タンスはダサいパーカーとハーパンで溢れてるよ! 夏は9割Tシャツだよ! ワンピとかスカートで学校来ねーよ! 似合わねーんだからよ! てか、誰もがユルふわ女子好きだと思うな! 「あと口調もー! 光希ちゃん口悪いよ。 男の子の前だけでも、口調かえたら?」 ── ホザけクソが! 余計なお世話じゃ! このメンヘラ女が!
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