秋色日和 6

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秋色日和 6

本日家族の用事で多忙だったため、短い内容で申し訳ないです。でも、まるメイド社さんの衣装がとにかく可愛いので見て頂きたいです。 **** 「そうだ! お洋服はハンガーにつるさないとね。よいしょっと」  クローゼットを開けると、いろんな色が並んでいたよ。 「えへへ、まぶしい」  これは全部お兄ちゃんと出会ってからの色なんだよ。  ボクは知らなかったよ。  こんなに色んな色があることを、知らなかった。  小さい頃、ここはいつも暗かった。  開けると真っ暗で、こわかったよ。  だからここには『夜がいる』って思っていたんだ。  でもママが好きな色だから、ちょっとだけ、ちょっとだけ、いやだったけど、ママがよろこぶから、がまんしたんだ。  だからパパとふたりで暮らすようになって、はじめてお洋服を買いに行った時はびっくりしちゃった。  お店のたなには上から下まで、カラフルなお洋服がぎっしり。  リンゴの赤  オレンジのだいだい  森の緑  レモンの黄  空の青  夜空みたいな濃い青  ぶどうみたいな紫  なんだか、まるで虹みたい。  あ、もしかして! もしかしたら……  ボクはお洋服を床に1列に並べてみたよ。  赤、黄、緑、青、青よりこい色、むらさき。  ここに今日買ってもらったオレンジのトレーナーを置くとどうなるかな?  わぁ! これって、これって、もしかして…… 11c2b4c2-398b-4f53-bb6a-a08a51a97531(衣装協賛 まるメイド社)  これって、虹だ!  273c37ad-9d09-4539-93c2-c5b27bf22395(衣装写真 まるメイド社 collage 海)  すごいすごい!  ボクのお洋服で、虹がかかったよ。  うれしくて、パパとお兄ちゃんにすぐに話したくなったよ。  ボクがうれしいことは一番に話したいよ。  それが家族。  大好きな家族なんだよね。 「パパー お兄ちゃん、こっち来てー」  お兄ちゃんもパパも一緒にすごいって驚いて、よろこんでくれた。  あっ、お兄ちゃん少し泣いてる。  励ましてあげたいな。  あのね、ボクは、もうふたりの子だよ。  そう思っていること、どうしたら上手く伝えられるかな?  急に図工の時間の発見を思い出したよ。  パパの好きな色は赤。お兄ちゃんの好きな色は黄。二つの色を混ぜたら、色が変わってオレンジ色になったんだ!  あ……そうか! ボクがうまれたんだ!  ふたりの前で、絵の具でオレンジ色をつくってあげたよ。  あぁ、よかった。  ボクはこうやって生まれたんだ。  とても明るい色から生まれたんだ。  そのことを上手に伝えられそうだよ。 「僕は……こんなに見事な虹は見たことがないです。大沼の母と広樹兄さんにも見せたいな。僕は昔、鮮やかな色を拒絶していた時期があったので、今はこんなにカラフルな世界にいると伝えたい」 「そうか、じゃあ写真を撮ろう」 「ボク、おしゃれしないと」 「そうだな、パパもだ」  ボクたちの記念写真。  おじいちゃんとヒロくんに届けようね。  ボクは今とってもしあわせで、お兄ちゃんもパパも同じくらいしあわせだから。 321e9890-1f3a-471a-b220-7e92a7c5a3bd(写真衣装 まるメイド社 collage 海) 「北の国で僕を守って育ててくれた人たちに伝わりますように」 「そうだな。さぁ俺たちの気持ちをのせて、君の大事な故郷へ届けよう」  パパとお兄ちゃんのお祈りはきっと届くよ! ****  手元に届いた1枚の写真に涙腺が緩んだ。 「参ったな、瑞樹は……兄ちゃんをまた泣かす気か」  暗闇に蹲って涙を堪えていた子。  夜中に魘されて震えていた子。  黒い洋服を着続けることが弔いだと頑なだった子。  全部、全部、もう流れていった。  もう瑞樹の悲しみは流れ去った。  残ったのは希望  感じるのは幸せ  願うのは未来。  思わず目頭を押さえて俯いていると、みっちゃんが心配そうに背中を撫でてくれた。 「どうしたの?」 「……これのせいだ」 「まぁ、可愛い笑顔。いい写真ね。あのね……ヒロくんがいたから瑞樹くんは何度も救われたと思うの。あなたがいなかったら今頃、こんなに明るい笑顔は浮かべられなかったでしょう。だからヒロくんも本当に頑張ったのね」 「うっ……」 「そんなあなたが誇らしいわ。大好き」  みっちゃんの優しさが、どこまでも心地良い。  全てを受け入れてくれ、優しさに惚れている。 「ありがとう……みっちゃん、俺は君をいつもずっと愛していくよ」 「ヒロくんのそういう所が大好きよ。弟思いで頑張り屋のお兄ちゃんな面も愛しているわ」  愛――  愛が積もっていく。  積もって積もって、更に深まっていく。  それが俺の愛だ。 「兄さん、僕は今、どこまでも幸せです」  短い言葉に宿るのも深い愛。  可愛い弟の未来に幸あれ!    
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