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30スター特典お試し読み 『瑞樹のパンツ』1&2
おはようございます。志生帆 海です。
本日朝からもう一つの投稿サイト(fujossyさん)がずっとエラーで、実はそちらで下書きをしているため、最新話が投稿できない状態です。しょんぼり……
というわけで、今日は30スター特典の『瑞樹のパンツ』というコメディの1~2話を少し加筆して、こちらに公開してみます。ちなみに特典内では12話まで続く、ちょっと残念なスパダリとそれに感化される可愛い瑞樹。そしてキュートな芽生のコメディタッチの楽しいお話です。まだ冒頭部分なのであまり感じられないかもしれませんが……ちょうど本編の同居直前の時期なので、時系列は合っています。
ではではどうぞ!
****
~ 特典番外編SS『瑞樹のパンツ』1&2~
瑞樹が芽生にせがまれて家に泊まった翌日のことだった。
朝食後、瑞樹は「今日は僕が子供部屋の掃除をしますね」と張り切っていたので、俺と芽生も一緒に手伝うことにした。
「うわぁ……なんですか。これ……床一面におもちゃの鉄道が」
「ははっ! なぁ力作だろう。芽生と一緒に作ったんだが、もったいなくて壊せないんだ」
「一体いつから?」
「クリスマスの頃からだから、三カ月はそのままかな」
「うーん……宗吾さんの力作は認めます。でもせっかく作られたものですが、一度片付けてもいいですか。とにかく床がすごいことに、ホコリがモクモクしてる……芽生くんもいいかな? 」
「うん! ほんとうだ。このねずみさん色のわたがしみたいなの……おいしくなさそうだもんね。メイもおにいちゃんのおてつだいする!」
芽生はウンウンと素直に言う事を聞く。よっぽど綺麗で優しい瑞樹ことが好きなようだ。
「で、俺は何をすればいいかな」
「そうですね、じゃあベッド周りをお願いしても?」
芽生のベッドを見ると、さっきまで瑞樹と芽生がふたりでくっつきあうように眠っていたから布団がまるで洞窟のようにこんもりと盛り上がっていた。
まるで抜け殻のようだな。俺の愛しい人の住処って奴か。
ただし俺は掃除が得意ではない。だから何から手を付けていいのか分からない。
「瑞樹、あのさぁ……ベッドってどうやって掃除したらいい?」
「くすっ、そうですね。まずは布団を干してもらえますか。羽毛布団は日陰に……あっカバーは外してくださいね。いい機会だから薄い布団と入れ替えましょう! っていうかまだ替えてなかったんですか。これじゃ真冬ですよ」
「やろうと思っていたんだが……億劫でな」
「とにかくここは宗吾さんに任せましたよ。僕は鉄道を」
瑞樹はそれから一心不乱に鉄道のおもちゃの片づけに集中してしまった。
ふうん……瑞樹は料理は駄目だが、掃除は本当に好きなんだな。清潔な瑞樹らしい。それにしてもこんな風に日曜日の朝に総出で掃除をするのは、もう一緒に暮らす家族になったようでウキウキするものだ。
「よし! 俺もやるか」
ベッドカバーを外そうと布団をガバっと持ち上げると、何かがひらりと舞い落ちた。それは灰色の薄い物体だった。
「ん……なんだ?」
ハンドタオルでも紛れていたか……それとも芽生の洋服かなと軽い気持ちで拾ってみると……
なんとなんと、それはボクサー型のブリーフだった。
えっ!これ俺のじゃない。こんな小さなサイズは……
ってことは……まさか、まさか……瑞樹のものなのか!!
思わずゴックンっと喉が大きく鳴ってしまう。すごい宝物を手に入れた冒険者のように胸が高鳴った!
「宗吾さん? どうしたんですか。手が止まっていますよ」
背後から瑞樹に声をかけられてギクッとした。 慌てて瑞樹のパンツをもう一度布団にサッと潜り込ませた。
「なっ何だ? 」
「あの……洗濯機のブザーが鳴ったみたいなので、僕、干してきますね」
「いや、重たいだろう。俺がやるよ」
「大丈夫ですよ。僕は食事を作るの以外なら何でも得意ですから。宗吾さんは早くその布団カバーを外してください」
「おっおう!」
瑞樹は芽生の部屋から出て行ったのを見届けて、もう一度大きく唾を呑み込んだ。
ゴックン──
ご馳走を前にお預け喰らう犬のようだな、今の俺。
もう一度瑞樹のパンツを掴むと、どこか生暖かいような……このパンツは使用済みなのか。それとも未使用なのか。でも何でこんな所に……もっもしかして朝履き替えたとか。
におい……においが気になってしょうがない。
いや、素直にこのまま瑞樹に返すべきだ。こんなの変態行為だろ!
怪しく揺れ動く心。
誘惑に負けそうで……『うううぅ』と唸ってしまった。
そこに居間でテレビを観ていたはずの芽生がひょっこり顔を出した。
「パパ~今度は何のマネしてるの? この前はクンクンわんちゃんだったけど、今日は『うううっ』て、あーもしかして、オオカミさんかなぁ」
芽生の無邪気な声に、あぁ……猛反省だ。
狼……あながち間違えていないから、またイタイ!
部屋着のスエットのポケットに瑞樹のパンツは突っ込んで、布団カバーを外すことに専念した。
****
洗濯カゴに洗濯物を移し、ベランダに運ぶ。
「ふぅ……わぁ……ここは、すごい眺めだな」
宗吾さんのマンションは12階と高層階なので、見晴らしが凄く良かった。
「あっ遠くに山が見える! へぇ……こんな都会でもちゃんと見える所からは見えるんだな。おっとサボってないで家事を済まさないと! この後布団も干すんだし」
洗濯物をせっせと次々と干していく。
「わぁ芽生くんの靴下はまだ小さくて可愛いな。……僕の大事な弟の足もこんなに小さかった」
「わっこれは宗吾さんが昨日着ていたシャツだ。流石にサイズが大きいな。僕が着たら悔しいけどダボダボだ」
胸元に濡れたシャツをあてて、手の長さを比べたりと普段出来ないことをしてしまった。なんだか宗吾さんに抱かれているみたいでドキドキしてしまう。
なんだか洗濯物っていいな。
あ……ということは宗吾さんのパンツもこの中に……
洗濯籠の中を見つめると、喉がゴクっと鳴ってしまった。
(このあと12話まで楽しく続きます♪)
サイトエラーが改善されましたら、本編の続きもあげます。
こちらのスター特典のお試し読みは期間限定予定です。
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