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幸せを呼ぶ 11-2
リーダーとランチを取りながら、今後の復帰の予定について話し合った。
会社からの帰り道……まだ半信半疑だった。
本当にいいのだろうか。会社に大きな穴をあけた僕なのに。また『フラワーアーティスト』として活動していいのだろうか。
ふわふわとした足取りで、約束通り宗吾さんのご実家に向かった。芽生くんが今日から春休みなので、日中はご実家で預かってもらっているそうだ。
僕も芽生くんと遊びたかったし宗吾さんのお母さんにも会いたかったので、午後お邪魔する約束をしていた。
「瑞樹くんいらっしゃい」
「お邪魔します」
「おにーちゃん~まっていたよ」
廊下を勢いよく走ってきた芽生くんが、僕の足にくっついてきた。甘えるように顔をスリスリしてくる。
ふふっ可愛いな。こういうの仕草。
「昨日約束したからね。さぁ何して遊ぼうか」
「まぁ来たそうそう悪いわね。本当に芽生の相手をしてくれるの?」
「もちろんです。あの……宗吾さんが帰宅するまで、一緒にいてもいいですか」
「こちらこそぜひお願いするわ」
芽生くんが子供部屋として使っている、居間に続く和室のちゃぶ台で一緒にお絵かきをした。
子供の使う色って素直だ。黄色や水色など単純な色なのに、筆圧のせいか微妙な強弱がついて、面白い。
「おにいちゃんも何かかいて」
「うーん、僕は花の絵しかかけないよ」
「それ見たい!」
「いいよ。じゃあ芽生くんに花の名前を教えてあげるよ」
「うん!」
僕はガーベラやスズラン……いろんな花の絵を真っ白なスケッチブックに描き続け、芽生くんにその名を伝えた。
「おにいちゃんはすごいなぁ、いろんなことをしっているんだね」
「そうかな。芽生くんもなにかかいてみる?」
「うん!」
今度は芽生くんが夢中で絵を描きだす。
どうやら白い花に囲まれたお城の絵のようだ。
ロマンチックな芽生くんらしいな。
「このお花は?」
「これは白いバラだよ。そして白いレンガでできたお城みたいなお家なんだぁ。あのね、この前よんだ絵本に出てきたんだよ」
「うん、とても綺麗だね。ここには誰が住んでいるの?」
「んっとね、絵本は王子さまとお姫様だったけど、メイはねーかっこいい男の人と可愛い男の人にしようかな」
「え……」
「ふふ。そうだなーパパとおにいちゃんみたいな感じだよ」
「芽生くん……」
こんなにも自然に、こんなにも小さな子供が僕の恋を認めてくれている。
それが嬉しくて溜まらないよ。
あとがき。(不要な方はスルーで)
****
こんにちは。志生帆 海です。
いつもスターをありがとうございます。
今日は2500文字以上になってしまったので、分割してみました。
昨日、新しい連載をスタートしました。
新装 『まるでおとぎ話』 ~long version~
https://estar.jp/novels/25598236
芽生が読んだという絵本はそこにも出てきます♡
おもち様の表紙がとても素敵なので、よろしければ!
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