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幸せを呼ぶ 12-1
メイの大好きなお兄ちゃん。
ねぇおぼえてる?
お兄ちゃんのこと、あの原っぱで一番さいしょに見つけたのは、このメイなんだよ。
ママがいなくなってから……いつもパパとふたりで、にちようびには公園に遊びに行っていたんだ。でもパパはつかれているから、いつもとちゅうでお昼寝しちゃって。だからメイ……つまらなくて、ひとりでシロツメグサのゆびわを作って遊んでいたんだ。
うまく出来たから、もらってくれる人いないなぁと顔を上げた時、ひとりぼっちのお兄ちゃんが見えたんだよ。
それでキレイな細いゆびに、ゆびわをしてあげたら泣いちゃったんだよね。
あの時は本当にびっくりしたよ。
あわてて、パパを呼びに行ったんだ。だってメイのパパはとっても強いから!
おにいちゃんを元気にしてあげたのは、パパだった。
あの日がパパとおにいちゃんの出会いなんだ。
ずっとずっと大好きなお兄ちゃん。
だから、これからもっとメイの近くにいると約束してくれて嬉しいよ。
「ねぇお兄ちゃん、いつメイのお家にくるの? お日にちきまった?」
「あれれ? お兄ちゃん……眠っちゃったの?」
お絵描きに夢中になっていたら、すぐ横にいたお兄ちゃんがいつの間にか眠っていた。すると割烹着姿のおばあちゃんが、お部屋にやってきた。
「芽生、もう暗くなってきたわよ。電気をつけないと目が悪くなるわよ」
「おばあちゃん、しーっ」
「え? あら……瑞樹くんってば、寝ちゃったのね」
「うん、おばーちゃん、どうしよう~」
「きっと疲れていたのね。久しぶりに会社に行ったんだし無理もないわ。そうねぇ横にして毛布をかけてあげましょう」
「うん!」
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