さくら色の故郷 27-2

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さくら色の故郷 27-2

**** 「いただきます!」 「おう! 沢山食べろよ」  墓参りから戻ってきた瑞樹の目元が赤かったが、幸せそうに微笑んでいた。  瑞樹……嬉し涙なら、いくらでも流せよ。  お前には幸せな顔が似合うよ。  お前さ……小学校の時、本当に可愛かったんだぞ。  いつも5歳下の弟の手を握っていたな。  俺はよく覚えているよ。  お前がどんなに両親に愛されて育ったのか。  だから余計に瑞樹が一度に家族を失った事が……悲しかった。  函館に行ってしまい、ずっと姿を見せない間……どんどん周りからお前の話題は消えてしまったが、俺は違ったよ。  だって俺の家は、瑞樹の家だったから。  廊下に父さんが飾った写真パネルには、いつもお前と弟がいた。  いつか俺に幸せな姿をきっと見せてくれると……信じて待っていた甲斐があったな。 「宗吾さん。お酒飲みますか」 「あぁもらおう、何がいと思う?」 「そうですね。やっぱり北海道の生ビールがオススメです」 「いいね」 「セイ、ごめん。生ビールいいかな?」 「おう」  随分と甲斐甲斐しく尽くしてんなー 「瑞樹、明太子のパスタが上手そうだぞ。ほら皿を貸せ」 「あっはい」 「沢山食べろよ」 「ありがとうございます」  いや、尽くされているのか。  ぷぷ、なんかお似合いだな。  正直さ、瑞樹の恋人が男っていうのは驚いた。  ここは田舎だから特にな。    でも、こんなにも幸せそうな顔をする二人を見ていたら、まぁいいかって気分になるぜ。  おまけに相手の母親と息子公認ときたら、文句のつけようがない。  瑞樹の幸せは、お前の努力の賜物だよ。  お前が幸せなら、一番だ。  『セイ……セイっ』  小学校の頃の甘い呼び声が聴こえてくる。  可愛かった瑞樹は、もっと可愛くなって戻ってきた。  
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