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花束を抱いて 2-2
優しく布団に沈められ首筋を美味しそうにぺろりと舐められると、宗吾さんに食べらているような倒錯的な気分になる。
「あっ……」
「函館楽しかったな。ふたりの思い出が増えて嬉しかった」
「僕もです」
「去年はまだ出会って間もなかったから、誕生日のこと知らなかったし……今頃、君は何をしていた?」
去年の僕は……まだ一馬と過ごしたマンションにひとりで暮らしていた。
一馬が去って間もなかったので、慣れない一人寝に苦しんでいた。
「……ひとりでいましたよ。ひとりで眠って……ひとりで起きて……」
「ごめん、思い出させたか」
「いえ大丈夫です。僕は……今年は……宗吾さんに抱かれて迎えるのですね」
横を向くとサイドテーブルに置かれた目覚まし時計が見え、針は後10分で明日になろうとしていた。
「バレたか。君の中で迎えようかと」
「くすっ、なんだか、ソレ……また意味が違うようですが、宗吾さんらしいですね」
「可愛い文句だが、もう喋るな」
そのまま唇をぴったりと塞がれてしまった。
「……星空の下での続きをしよう」
「はい」
一度お互いに出していたからか、余裕がいつもよりあった。
だから……いつもよりずっと長く丁寧な愛撫を受け続けた。躰の隅々を辿るように確かめるように優しく撫でてもらい、淡い色の胸の尖りは、口に含まれ転がされ、芯を持つまで熱心に弄られた。どんどん僕の躰は過敏になっているので、宗吾さんの唇の動きに合わせ反応し出す。ダイレクトに下半身に響いておかしくなりそうだ。
「んっ、そこもう……やだ。変になります」
「感じてきたか」
過敏になった躰を、ふわりと宝物のように抱きしめられる。
「瑞樹……何だか細くて折れそうだな」
「……宗吾さん、僕は折れませんよ」
「あぁ君はしなやかだ」
「宗吾さんは逞しいです」
お互いの名前を何度も呼び合う。
太ももを辿ってきた手に奥を探られ、蕾の入り口を指先で擦られ、腰が揺れてしまう。たっぷりの潤滑油によって解された入り口が宗吾さんを待っている。なのになかなか挿れてもらえなくて、じれったくなってしまう。
「ん、もう……」
「欲しい?」
「……うっ」
ずるい、そんな風に聞くのは。
見上げると目が合った。
「誕生日プレゼントなんていりませんよ。宗吾さんがいてくれれば……」
そう告げると、宗吾さんが破顔した。
「はぁーもう瑞樹。それ反則。本当に可愛すぎるよ」
「あうっ!」
油断していたらいきなり挿れられ、奥を突かれたので、変な声が上がってしまった。
「あっ、あ……あっ」
彼を奥深く受け入れた僕の躰が震えている……欲しがっている。
なんだか浅ましい気もしたが、嬉しさの方が増す。
時計の針が進んだようで、カチっと歯車が合うような音がした。
「おっちょうど0時だ。誕生日おめでとう、瑞樹、27歳になったな」
躰の中に宗吾さんを受け留めたまま、唇を重ねられ、そのまままたすっぽりと抱きしめられた。上も下も……全部宗吾さんとくっついている。
「俺の花束みたいだ」
「えっ」
「いい匂いがする」
「宗吾さんと同じ匂いですよ、一緒のシャンプーだしボディソープも」
「あぁ洗濯の洗剤も柔軟剤も……歯磨き粉も一緒だ」
「日常が同じですね」
「いつもの花のような香りの瑞樹もいいが、俺の家の香りの瑞樹はもっといいな」
「宗吾さんの匂い……好きです。落ち着きます」
裸の胸に正面から深く抱かれ、肌と肌を擦り合わせる。
深く抱かれ、深く揺さぶられ……ぜんぶ委ねていく。
宗吾さんは、僕の家だ。
「瑞樹……何度でも言うよ。誕生日おめでとう。君が生まれてきてくれて良かった」
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