花束を抱いて 3-1

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花束を抱いて 3-1

 深まる口づけ、淡い口づけ、優しい抱擁を、繰り返してもらった。  普段はどこまでも男らしく精悍な印象の宗吾さんだが、僕を抱く時はどこまでも優しい。  愛に満ちている……そう感じる営みだった。  だから好きだ。あなたが好きだ。  僕にとって新しい1年が始まる幕開けは、宗吾さんを躰の奥深くに受け留めることから始まった。  去年はまだ出逢ったばかりで、宗吾さんとこんなにも深い関係になるとは思ってもみなかった。  日付を跨ぎ年齢を跨いで……愛されて思うことは、ただ一つ。  この世に生まれて来てよかった。  生きていて良かった。  宗吾さんに出逢えてよかった。 「俺達……今、同じこと考えているな」 「はい……きっと」  額をコツンと突きあわせ、微笑みあった。  なんて優しい時間なんだろう。  函館旅行の余韻に浸りながら、こんなにも優しく抱かれるなんて。  事後も、やわらかな余韻に、ふたりで浸った。  裸の肌を触れ合わせると、何ともいえない温もりとしあわせが生まれ、ホッとした。  満ち足りた心地で息を吐くと、宗吾さんが優しく胸に抱きしめてくれた。 「瑞樹、しあわせそうだな」 「はい、しあわせです」  僕が……こんなにも息を吐くように自然に、この台詞が言えるなんて──  感慨深くて、思わず涙が浮かんでしまった。 「また泣く」 「あっ、すみません」 「また謝る」 「あっ」 「いいよ、瑞樹らしい」  彼が舌先で目元を拭ってくれる。  涙は消え去り、彼が触れた場所に温もりだけが残る。  ほっとしたのか、眠気を感じて疲れが急に押し寄せてきた。 「眠くなったか」 「……少しだけ」 「もう、休め」  宗吾さんが指の腹で僕の目元を拭い、頬を撫でてくれた。  それから少し汗ばんだ髪を優しく……僕が寝付くまで何度も何度も梳いてくれた。  
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