選び選ばれて 4-2

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選び選ばれて 4-2

 というわけで、粒の大きさは…… 「この位か。いや、もうちょっとつぶらで……この位か」 「パパぁぁーストップ!!」 「え?」 「下を見て!」 「うっわ!!」  涎…… 「すっすまん」 「もう、パパってばーまた『ハナノシタジケン』だよ。おにいちゃんがかえってきたら、ホウコクしないと! 大ジケンですよーて」 「うわ、それだけは勘弁っ」  そこからは大人しく無心にボーロを丸め続けた。  出来上がりをオーブンに入れる。  f2e81fc0-181f-42bb-b98b-5a51b4e78693  小さな粒がごろごろしているのを見て、なんか俺みたいだなと苦笑してしまった。  この小さな粒め!   瑞樹がちょっといないだけでへこたれて、菓子の生地に欲情する程のちっぽけな男だ……俺は!  もっと広い心で瑞樹と接していかないと……彼と過ごさないと!  煩悩の塊じゃダメだ!   駄目…… **** 「クシュっ」 「大丈夫ですか」 「いえ、急に。すみません」  なんだか今ブルっと悪寒が…… 「じゃあ、こちらが新婦様の控室です。今出てこられるので、ブーケチェックをお願いします」 「了解しました」  控室前で待機していると扉が開かれ、世にも美しい女性が出て来た。  サオリさんという売れっ子モデルの彼女は、20歳そこそこで10歳も年上の俳優と電撃結婚するそうだ。  白薔薇のヘア飾りにラウンドブーケ、若い彼女の瑞々しさとマッチして、眩い程のしあわせオーラにあてられそうだ。 「あっフラワーアーティストの葉山さん!」 「本日はおめでとうございます」  何度かホテルで打ち合わせに同席しただけなのに、名前まで憶えてくれるなんて嬉しいな。まだ『フラワーアーティスト』と呼ばれるのは照れくさいけれども、ありがたい事に雑誌に掲載された僕の花を見て指名してくれる人が増えている。 「わざわざ連休中にすみません」 「いえ、仕事ですから。ブーケや髪飾りに不具合はありませんか」 「はい! サオリ面食いなので、葉山さんみたいなイケメンでハンサムな男性にブーケを作ってもらえて、嬉しいです!」 「えっあっ……ありがとうございます」  これから結婚する女性の発言とは思えないが、若さと美貌故の自信なのかな。 「あら、先生って……少し面影が誰かに似ているような」 「あーすみませんね。うちの姫はいつもこんな調子で」 「もう! 似てるってばぁ」  良く分からないが、モデルさんの知り合いの男性に似ているらしい。なんだか芸能人のオーラに飲まれそうでタジタジだ。 「時間だよ」 「はーい」 「お幸せに……いってらっしゃいませ」  深くお辞儀して、花嫁を見送った。  しあわせに──  どんな人にも願わずにいられない。  僕が今、とてもしあわせだから、そう感じるのか。        
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