花の行先 11-2

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花の行先 11-2

 気が付くと……心の声が外に漏れていた。 「ここで、いいのか」 「はい」  ここは普段と違う場所だ。  玄関で交わすキスが新鮮で、さっきからドキドキが止まらない!  下駄箱の上にかけた家の鍵が、僕たちが動く度にカチャカチャと音を立てる。  自動点灯の照明は、僕たちが動いている限り消えない。  足元には芽生くんの運動靴が見えた。  こんな日常的な場所で……いけないと思うのに、僕たちはキスを止められなかった。 「どうしよう」 「とまらないな」  お互いの不安をお互いで埋め尽くしたい。  宗吾さんの唇が、更に意志を持って動き出す。  首筋を舐められ咽喉にも触れられ……そのまま着ていたリネンシャツの釦を外されて、胸元を露わにされた。 「ん、あっ……あぁ」  鎖骨の窪みは、特に舌先で丹念に舐められた。  熱い……躰が熱い!    開いたシャツの隙間から手をぐっと奥に差し込まれ、直接指で胸の尖りを撫でられた。 「ううっ──」  宗吾さんがいつもそこばかり丹念に弄るせいで、過敏になった先端がキュッと締まり固くなるのを感じた。  男でも胸で感じる。こんなにも── 「瑞樹のここ……すっかり弱くなったな。こんなに尖らせてイケナイ子だ」  煽られる言葉にすら、今日の僕は震えてしまう。  今日の僕は淫らだ──  宗吾さんの肩越しに抱かれている自分と鏡の中で目があって、それがまた羞恥を煽ってくる。  気が付くとシャツはもう……全開になっていた。  もっと大きく手のひら全体で胸を揉まれ、両方の胸の尖りを摘まみ上げられたり、指先で捏ねられて……喘ぐような声が漏れそうになった。 「ああぁ……いやっ、いやっ」  玄関先という経験がない場所で煽られて、首を左右に振り乱れてしまう。 「んんっ──」  その時、廊下の外をコツコツと歩く足音が聞こえて、思わず自分の手で口を塞いで息を呑んだ。宗吾さんも慌てて僕の頭を掻き抱き、胸元にぎゅうっと押し付けて守ってくれた。 「大丈夫か」 「はぁ……もう宗吾さんはっ」 「瑞樹こそ、こんな場所でこんなに感じて」 「もう……変に……なりそうでした」 「俺もすごく煽られたよ。品行方正な君が、玄関先で乱れる姿が絶品だった」 「そんな言い方は……恥ずかしいだけです」  鏡に映る僕はとても満ち足りた顔と、物足りなさそうな顔の両方を持っていた。 「こんな機会滅多にないから、いつもと違う場所で君を抱きたい」 「もうっ──」  何を言いだすのかと思ったら……でもそう言われると、僕の躰の芯も痺れて甘い気持ちが押し寄せ疼いてしまう。 「今日の僕は……宗吾さんに……飢えています」  宗吾さんの胸元に頬をくっつけて彼の早い鼓動を聞きながら告げると、肩を抱く力がますます増してしまった。 「あっ、駄目です、もうっ!」 「駄目だ、もう止まらない」 「とっ……とりあえず靴を脱ぎましょうか」 「確かにそうだな」  お互いまだ……靴も脱いでいないことに気が付いて、何だか可笑しくなった。  こんなにお互いがお互いに飢えていたなんて── 「あーあぁ俺たち……がっつき過ぎだな」 「ですね、くすっ」  お互いの額をコツンと合わせ、笑ってしまった。 作者の呟き(不要な方はスルーしてください) **** こんにちは。志生帆 海です。 いつも『幸せな存在』を読んでくださり、スターやスタンプ、ペコメで応援ありがとうございます!どれも創作更新の励みになっています♡ 昨夜、なんとなんと『7万スター』に到達しました。 ちょうど去年の7月から連載を始め、毎日コツコツ更新してきた大切な 作品なので、本当に嬉しいです。 これはもう……読者の皆様のお陰です。 本当にSpecial Thanksです! お礼の気持ちを込めて、30スター特典の続き(酔っ払った瑞樹のその後)を後日、書かせて下さい。 それから本編でも、明日、明後日で合計6000文字近いラブシーンを書いておりますので、じっくり二人だけの夜をお楽しみいただければ……嬉しいです♡ 宗吾さん、瑞樹、芽生の3人の成長物語、もう少し続けてみたいです!
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