花の行先 13-2

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花の行先 13-2

 一滴も残さず彼の中に注ぎ込み、そのまま彼をきつく抱きしめた。  まだ離れがたい。  ずっと素肌を合わせていたい。  このまま瑞樹の匂いに包まれていたかったので、すぐに抜くことは出来なかった。  瑞樹は戸惑った様子で、俺を潤んだ瞳で見上げた。 「あの、宗吾さん……もう、抜いて……」 「もう少しこのままで。どうだ? 気持ち良かったか」 「……はい」  面映ゆそうに眼を閉じ甘い吐息を吐く君の色香が壮絶で……自身がまたムクリを覚醒するのを感じた。 「えっ! なんか……ヘンです」 「何が?」 「宗吾さんの……また……あぁ、待って! すぐには無理ですっ、達っしたばかり……っ」 「じゃあ、じっといい子にここで待っているよ」 「もうっ」  瑞樹は花のように笑った。  いじらしい君の繊細な心に、もっともっと俺も寄り添いたいよ。 「絶対に……じっとしていて下さいね」 「あぁ分かった」  彼の胸に体重をかけないようにそっと顔を伏せると、細い腕を俺の背に回して抱きしめてくれた。 「宗くん……そのまま、じっとですよ」  瑞樹の……とっておきの呼び方が好きだ。  君はいつの間にか、俺を甘えさせてくれる存在になったな。こんなに居心地のいい場所があったなんて、瑞樹と出逢うまで知らなかった。 「大きくしたら……怒りますよ」 「それは拷問だ」  くすくすと肩を揺らして笑う顔が、やっぱり綺麗で愛おしくて堪らない。 「あぁ、もう……このまま君の中に溶け込みたいよ」 「僕は宗吾さんの中に……」 「君に歩み寄りたい」 「僕も歩み寄りたいです」  照れくさい愛の言葉を重ねていくと、見えて来るものがあった。 「そうか……瑞樹とは『歩み寄る恋』をしているんだな」 「……そうですね。僕は宗吾さんみたいになりたいです。力強く明るく前を向いて努力している姿が好きです」 「俺は瑞樹みたいになりたいよ。人の心の機微に敏感で優しくて清らかだ。誰かを恨むのではなく謙虚な所も、全部……好きだよ」  やっぱり俺のものがどんどん硬くなっていくので、いつまでもいい子にはしていられないようだ。クルっと彼を反転させ……今度は瑞樹を腹の上に乗せ、騎乗位を取らせる。 「えっ! あっ……」 「腰、このまま落として……」 「んっ……うっ……ああっ……ふぅ……」  彼自ら……慎重に腰を深く沈めていく様子を、じっと見つめた。   ほっそりと華奢な彼の躰はちっとも重くない。むしろ心地よい存在の重さだ。 「瑞樹、俺たち……お互いにないものを持っているのが、いいのかもな」 「んっ……あっ……はい。こうやって繋がっていると、宗吾さんのパワーを分けてもらえるようで、気持ちいいです」 「俺も君の中に入り込んでいると、君の優しさに包まれているようで心地いいい」  俺たちが抱き合う意味。  この先、どんなに君と躰を繋げても……  あたり前だが、芽生に弟や妹はやってこない。  だが繋がれば繋がるだけ、お互いが歩み寄れる。  その事を知った……深い営みだった。  この先もこうやって躰をひとつに繋げては、思うだろう。 『歩み寄る恋』をしていると…… 「君とは潤いのある恋を、永遠にしたいよ」 「僕もです。ずっと……ここで感じながら……」  面映ゆい表情で彼が手を添えた先は、俺たちがしっかりと一つに繋がっている場所だった。  
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