花の行先 14-1

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花の行先 14-1

 結局……明け方までインターバルを置いて、何度も愛し合ってしまった。  そのお陰で朝には瑞樹の不安も俺の後悔も、綺麗に昇華されていた。  俺の腕の中で疲労困憊の中にも幸せな笑みを浮かべ眠る瑞樹の顔を、さっきから飽きる事なく眺めている。  無理させてしまったな。  だが最高に可愛かった。  積極的な君には、かなり煽られたぞ。  そう言えば風呂上り、キッチンに連れて行った時、もしかして何か期待していたのか。ペットボトルを頬にあてた時の瑞樹のきまり悪そうな顔を思い浮かべ、ニヤついてしまった。  これは近い将来、もしかして……オリーブオイルも裸エプロンも夢ではないのかもな。  盛大にニヤついて、思わず喉の奥からククッっと声を漏らした瞬間、眠っていたはずの彼が、俺の胸元で肩を揺らした。 「なんだ? 起きていたのか」 「……ふぅ、さっきからずっと我慢していましたよ」 「なぬ!」 「宗吾さん、僕の顔をずっと見ていましたね」 「あぁそうだよ」 「それでまた……変なこと考えていませんでしたか」 「おぉそれな! 何で分かるんだ?」 「やっぱり……察しますよ。ぞわわって来ますからね。一体今度は僕に何をさせたいんですか」  瑞樹が俺を見上げ、悪戯気に聞いて来る。 「そうだなぁ、やっぱりエプロンから行こうか」  俺も悪びれずに図々しく申し出ると、瑞樹はいつものように瞬時に頬を染めた。その面映ゆそうな顔は、俺の大好物だって知っているか。 「あぁやっぱり! 僕はもう宗吾さん化していると自覚してしまう事を言うんですね」 「ってことは、瑞樹もそう思ったのか」 「くすっ……もう」 「瑞樹……」 「……はい」  意図を察した瑞樹が微笑みながら目を閉じて、唇を薄く開いて誘ってくれた。  オ・ハ・ヨ・ウのキスは、今日はスペシャルだ。深い口づけが、互いの躰を目覚めさせてくれる。 「んんっ!? あーまずいな。余計な所まで元気になってきた」 「わわっ! 宗吾さんってば、もう駄目ですってば! 起きて芽生くんを迎えに行かないと~」  明るくなったな、瑞樹。  朝から新緑の木漏れ日のように爽やかな笑顔を見せてくれて、ありがとう!  
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