【成就編】 箱庭の外 1-2

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【成就編】 箱庭の外 1-2

「……僕を……抱いて下さい」 「喜んで!!」 「わっ」  まるで大型犬のように宗吾さんにバフっと飛びつかれて、ベッドに仰向けにされた。 「瑞樹、瑞樹……」 「ん……」  彼は僕より5歳も年上なのに、僕限定で可愛い面もあるので翻弄されてしまう。甘えるのも甘えられるのも好きな……僕の痛いところを突いて来るんだよな。  互いに唇を丹念に合わせた後……彼に首筋をキツク吸われそうになって、慌てて阻止した。 「あっ! 駄目ですって、そこは」 「ん……じゃあ……舐めるだけ」 「んっ……くすぐったい。あっ……ん……」 「可愛い声だ……」  パジャマの布越しに股間を掴まれ、大きな手で扱かれて刺激を受けた。  ダイレクトな刺激に腰がぶるっと震え……あっという間に高まってしまいそうだ。  だから必死に我慢した。 「ん? 今日は我慢しなくていいし、声も出していいんだぞ?」  そんな優しい事を言われると、宗吾さんが急に恋しくなり、胸に縋ってしまう。  いつもなら押し殺す声もあげてしまう。 「あっ、ん──」  我ながら艶めかしい声だと思う。  僕の声とは思えない甘いくぐもった声で、彼の名を何度も繰り返し呼ぶ。 「宗吾さん、ああ、あ……っ、宗吾さんっ」  ボタンを外され、胸元を露わにされる。  そこに思いっきり吸い付かれ、胸の尖りを吸い上げられると、腰が震えた。 「宗吾さん……いつも……いつも、そこばかり」 「甘くて美味しくてな、君のここ」  男だから何も生み出さない胸だ。  甘いはずないのだが、宗吾さんはいつも美味しいという。  そんな時はいつも……恥かしいけれども、彼を満たす存在でいられることが嬉しくなる。  下半身の硬くなったものを、宗吾さんが直に指で刺激してくる。  上下に扱かれたり揉まれたりしていると、そこにも甘い蜜がじわっと浮かぶ。  それをすかさず宗吾さんが躰をずらして、ちゅっと吸い上げる。 「ううっ……」 「気持ちいいか」 「……はい」 「俺もだ」  僕の片足を宗吾さんが抱え上げて、濡らした指先を挿入してくる。 「あっ──」  指先で丹念に襞を押し広げられる。 「宗吾さん……んっ、あ、あ」 「いいね。沢山呼んでくれ。俺のこと……さぁもっと力を抜いて、瑞樹」 「はい……」 「いいか、挿れるぞ」 「あっ」  宗吾さんの硬く勃起したものが、ズンっと一気に突き進んできた衝撃で、頭を大きく反らして喘いだ。 「ああっ──いいっ……んんんっ」  気持ち良過ぎて閉じた目に、うっすら涙が浮かんでしまった。  やがてゆっくりと律動の波に揉まれる。  腰を擦りつけるように、ぐぐっと大きく動かされる度に、掴んだシーツが皺くちゃになっていく。 「ん……んんっ」  今日は声を出していいと分かっていても、恥ずかしくて押し殺してしまうのに、宗吾さんはその逆を求めて、更に激しく僕を責めて来る。 「……はぁあ、ううっ」  上下に動かれ、擦られ……朦朧としてしまう程、甘美な気持ちに酔った。 「もう……もう……出ちゃう」 「いいよ。瑞樹、出せよ」 「あっ、ああ……っ」 「くっ──」  熱い飛沫が躰の中に潜り込み、同時に外へと迸っていった。    同時に果てたのだ。 「君の中、最高だ」 「んっ……」  そのまましっかり抱き合って、愛をしっとりと交わす。  そしてまた最初から、もう一度……繰り返す。  宗吾さんはその合間に、さっきの話をもう一度してくれた。 「君の仕事を応援している。瑞樹……君は夢を持っていいんだよ」 「はい……いつか……宗吾さんと叶えたい夢があります」 「そうか、何だろうな」 「まだ言えませんが、宗吾さんがいないと成り立たない夢です」 「たのしみだよ」  彼に愛されているから、持てる夢があった。  まだ言えないけれども、僕の中に芽生えた夢。  そのためにも、少しだけ貪欲に生きてみたいとも──  僕は未来に向かって生きていくことが、楽しみになっている。
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