箱庭の外 2-2

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箱庭の外 2-2

 ベランダで洗濯物を干していると、宗吾さんがやってきた。 「あ、もう洗い物は終わったのですか」 「あぁ、食洗器さまが洗ってくれているよ」 「ふふっ便利ですよね。やっぱりキッチンに導入してよかったですね」 「君と過ごせる時間が増えた」 「くすっ、僕も同じこと思っていました」 「干すの、手伝うよ」 「ありがとうございます」  ビールで火照った頬が夜風に当たると、気持ち良かった。  宗吾さんも上機嫌だ。  宗吾さんと一緒にいられると思うと、何でもない家事も楽しくなる。  ここはマンションの小さなベランダ……  僕が置いた大きなプランターが場所を占めており、少し動くだけで宗吾さんの躰に触れるので、何となくそわそわ……ドキドキしてくる。 「瑞樹さぁ」 「はい?」 「今、俺を意識してるだろう」 「……していませんよ」 「くくっ君は顔に出やすいな」 「もうっ」  宗吾さんに言われると図星なので動揺して、手に持っていた洗濯物を下に落としてしまった。 「あっ、すみません」 「いや、俺こそ」  同時にしゃがみ込んで洗濯物を拾おうとしたので、額がゴツンっとぶつかってしまった。 「痛っ」 「わ! ごめん。俺、石頭だよな」 「くすっ、大丈夫ですよ」  至近距離で顔を見合わせることになり、僕の頬がもう一段階、赤くなった。 「あぁ君って本当に」  宗吾さんが、僕の額にチュッとキスをした。 「えっ!!」 「馬鹿、静かに」 「で、ですが、ここベランダです」 「しゃがんでいるから見えないよ」 「でも……」 「静かにしないと」 (えっ……)  次の言葉は、宗吾さんの中に呑み込まれてしまった。  ベランダにしゃがんでいるから外からは見えないとはいえ、街灯や通りの人の話し声……車の音が聴こえてくる中で、宗吾さんとキスするのは刺激が強すぎて…… 「はぁ、ふっ……んっ」 「いいね。こういうのも」 「……僕はよくないです」 「だが埋め合わせしてくれるんだろう。金曜日の分を平日に分散しよう。うん、ベランダも萌えるな」 「もうっ……何を言うんですか」  変なことを言われて、変な汗が出た。  無意識のうちに拾った洗濯もので、汗を拭おうとしていたらしい。 「うわっ、瑞樹、ストップー!」 「え? あっ、わ!」  僕が握りしめていたのは宗吾さんのボクサーパンツ!!!! 「ちょっ……また2枚も!!」  ……油断していた。  さっき1枚干したので……油断していた!! あとがき (不要な方はスルーでご対応を) **** 本日の芽生くんのクローバーの絵シーンは、クロスオーバー作品集 『甘雨のあとの、幸せな存在』 https://estar.jp/novels/25642826 のおもちさんの描いて下さった漫画の続編みたいなイメージです。 そして、瑞樹のパンツは30スター特典 https://estar.jp/extra_novels/25510941 瑞樹のパンツの話の流れを汲んで…… 物語は……緩急つけて進んでいきます。 いつもスター・スタンプ・ペコメありがとうございます。 今日はキュンキュンと笑っていただければ、嬉しいです♡
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