Let's go to the beach 8

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Let's go to the beach 8

 迷子になった芽生はすぐに見つかったのに、瑞樹の動揺の仕方が尋常でなかった。  芽生を抱きしめている瑞樹自身の躰はいつまでもガタガタと震え、曇りなく澄んでいた眼からは、次々と透明な涙が溢れ出ていた。  見ていられないよ。  君のそんな泣き顔……切なすぎるだろう! 「おい、一体どうした?芽生なら怪我一つなく見つかって、もう笑っているよ。瑞樹のせいじゃない。だからそんなに泣くな」 「でっでも……宗吾さん……うっうっ」 「……瑞樹?」 「パパ、お兄ちゃんどっかいたいの?エーンエーン泣いているよ」  芽生も瑞樹の乱れ方に驚いていた。 「そうだな……どこか怪我しちゃったのかもしれないな」  もしかして……瑞樹の心の奥にしまい込んでいた、触れてはいけない何かに触れてしまったのか。  瑞樹……大丈夫か。  俺が傍にいる。  だからそんな泣くな。  何だか俺の知らない瑞樹みたいで、不安になるよ。  人目がなければこの場で抱きしめて俺の温もりで包み込んでやりたい。それが出来ないからどうやって慰めていいのか、何故こんなにまでショックを受けているのかも分からないから、俺では悔しいことに、なす術がなかった。  すると俺たちの様子を心配そうに見ていた青年から声がかかった。 「あの……もしよかったら、俺たちのサンシェードで休みませんか。向こうに大きなのがあって、連れが医師なので、背中の日焼けの応急処置もできますし」  芽生を見つけてくれた美しい青年の申し出に従ってみようと思った。瑞樹の美しい背中に火傷跡を残すのは忍びないし、何より瑞樹の取り乱し方が心配だったから。  初対面の人たちなのに、彼らの何もかも達観したような深い眼差しに誘われたのかもしれない。 「じゃあ……お言葉に甘えて、少し御厄介になります」 「えぇぜひ!さぁこっちですよ」  俺は瑞樹の震える薄い肩をしっかり支えてやり、芽生ともしっかり手をつないで、彼らと共にサンシェードに向かった。 「瑞樹……大丈夫か。少し休もせてもらおう。なっ」 「すみません。宗吾さん」 「そんなに謝らなくていいんだよ。瑞樹は悪くない」 「……ありがとうございます。僕、なんで、うっ……」  瑞樹の涙は、まだ止まらなかった。  こんなにも君のことが、心配で心配で溜まらないなんて。瑞樹にまた笑顔を浮かべてもらいたくて……たまらない。    本当に胸の奥が痛いほど、たまらない人だ。  瑞樹は俺にとって……そういう人だ。
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