Prologue

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そのあと、すっかり拗ねてしまったわたしに、両親は双方から、 「会ってみて七海がイヤだったら、断っていいからな」「会わないでお断りするのは失礼だから、一度会ってみましょうよ、ね?」 と言って、(なだ)めすかしてきた。 どうやら、もう日取りもなんとなく決まっているらしい。 もちろん、あたしの都合に合わせてくれると言うが、彼氏のいない身だし、今年二十七になる女子校や女子大出身の友達は、結婚してるか彼氏持ちばかりだから、土日の休みなんて基本的になんの予定もありゃしない。 父が最後に言った。 「田中は、おれが今まで見てきたヤツの中でも断トツに優秀な男なんだ。 見た目もいいから、いくらでも女は寄ってきそうなんだがな……おれだって、まさかあいつが見合い話に乗ってくるなんて思いもよらなかったよ」 ……でも、それって。もしかしたら。
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