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ようやく繁華街の明かりが見えてきた。車が行き交う音も聞こえる。
(やっと、人に会える!)
目覚めてからというもの、誰一人として見かけていない。自分以外に人類はもう死に絶えているなんて、想像するだけでも耐えがたい。だから、その恐怖から逃れるためには、一刻も早く人に出会う必要がある。
ミユは、つりそうな太ももを両手で叩き、体がガクガクになりながら大通りにゴールインした。
「嘘……」
辺りを見渡す彼女の四肢から、一気に血の気が引いた。
こんな繁華街にもかかわらず、車は走っているが、人は歩いていない。
それだけではない。
どの車にも、人が乗っていなかったのである。
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