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タイムスリップして、慣れ親しんだ町が様変わりした光景を目の当たりにし、しかもそこには肝心の人間がいない。
ミユは、この現実を受け入れることが出来ず、人の姿を求めて当てもなく彷徨う。
全員が透明人間になってしまったのか。それでも、相手は空気ではないので、ぶつかるはずだ。
そんな空想が、頭の中を忙しく駆け巡る。
人はおろか、犬猫も昆虫までも消えている。全ての生き物が死に絶えたこの世界で、店は営業しているし、車も電車も走っている。
自動制御装置が、闇雲にそれらを動かしているのだろうか。
この状況を何と呼ぼう。
――都市機能が持続している死の町。
ミユは、溢れる涙で視界が滲んでいった。
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