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ミユの足下には、濃い赤色の毛並みの猫が見上げていた。ボンベイ種のような体つきだが、黒猫ではない。
「キャアアアアアッ!!」
真っ赤な猫の出現に気が動転したミユは、手足をばたつかせ、ベンチの上に跳び上がり、さらにその後ろへ隠れて顔だけ出す。
「やーねぇ。化け物じゃないわよ」
「ね、猫がしゃべった!」
「私よ私」
「って誰!?」
しゃべる猫はベンチの上に跳び上がった。
「来ないで!」
「そういうわけにはいかないのよ。だって――」
猫は、長い尻尾をピンと立てて、ユラリと振った。
「未来で起きていることを観察・記録し、過去から来たあなたへそれを伝えるために、あなたが私を作ったのだから」
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