無人の地上

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 眩しいくらい明るい照明のコインランドリー店の前で待つ赤猫は、自動ドア開閉用のボタンが高くて届かないのでミユにタッチしてもらう。店内に入った彼女は、よどんだ空気を吸って少し咳き込み、混じっている異臭に顔をしかめた。  積もっている埃を(はた)いて椅子に腰掛け、辺りを見渡していると、赤猫が隣の椅子の上に飛び乗った。 「さて、状況を説明するわ」 「――ちょっと待って。名前を教えて」 「そっか。私が作られるより前の過去から来ているから、まだ知らないのね。私はマリリン。――あっ、あなたは名乗らなくても大丈夫よ。私のご主人様なんだから」 「じゃあ、マリリン。詳しく教えて。未来にタイムスリップしたと思うのだけれど、何がどうなっているのか、さっぱりわからないから」 「いいわよ。じゃあ、よく聞いて」  そう言って、赤猫マリリンは、ミユの未来で起きていることを語り始めた。
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