無人の地上

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 ここは、ミユが就職活動を行っていた年の30年後の世界。  人手の作業は、どんどんロボットなどの機械に置き換わり、人々の生活が大きく変わった。  車に乗り込んで行き先を告げれば、運転手がいない車が目的地まで運んでくれる。  トラックだって、荷物の積み込みはロボットが行い、宛先を告げれば――告げなくてもデータとして入力すれば――無人のトラックが運搬してくれる。宅配ボックスに荷物を入れるのも、玄関先に荷物を届けるのもロボットだ。小さな荷物は、空中を飛翔する小型ロボットが運ぶこともある。  電車の運転手も車掌も不在で、車両には万一の事故に備えた係員が乗り込んでいるだけ。  ショッピングは、自宅のネット環境ですべてが完結する。食事も、出来合いのものを買えばいい。  よほど自分で何とかしたい人だけが、食材を求めて外出し、自宅で調理をしていたが、高齢化のためそのような人たちは激減。店も閉店が相次いだ。  だから、ミユが生鮮食料品店を見かけなかったのだ。
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