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「そんなシステムを作った人は誰?」
「あら、言い忘れてた。あなたよ」
ミユはマリリンから、自分が面接予定だったAI関連のベンチャー企業Zに入社した後でめきめきと頭角を現し、今のインフラとなるシステムを設計したことを知らされる。
同じ会社で後に夫となる男性がタイムマシンを作成し、ミユは世界の行く末を監視するために赤猫のマリリン――実はロボットを作成した。
「この私が設計したなんて、想像も付かない。本当にシステム開発の才能に目覚めるの? あり得ないんですけど」
「自分がそんなに信用できないの? 未来を見て、かえってやる気を失ったとか? これで未来が変わって、私も消えるのかしらねぇ……」
「信じます、信じます!」
「なら、過去に戻ってシステムを改修して」
改修は未来のミユがやればいいはずなのに、マリリンはそう言う。ミユがその不思議に気づけば、誰が彼女を過去から未来へ召還したのか判明したのだが。
「伝染病は予防できないけど」
「それなら……」
マリリンは、尻尾をゆっくり振った。
「過去に戻ってシステムを改修した後、AIを使った医療関連の部署に異動を願ったら? 製薬会社と組んで活躍したのはその部署の人たちよ。治療薬を開発して多くの人が助かったの。優秀なあなたならもっと早く治療薬が完成して、被害が広がらないと思うけど」
「そんな自信ない……」
「また始まった。自分を信じなさい! 現にこのシステムを設計できたんだから!」
「間違いもあったけどね」
ミユはそう言って頭を掻いた。
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