人通りが消えた繁華街

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 壁紙や天井を見る限り、確かに自分の部屋だ。机の位置もベッドの向きも同じ。だが、なんとなく古びた感じがする。シーツは、倒れた程度ではこんなにならないほど、よれよれだ。  部屋の様子がおかしいことへの驚きよりも、ほぼ一日寝ていた後悔が先に立ったミユは、涙が止まらない。そして、怒りの矛先を、今日帰ってくるはずの家族に向けた。なぜこんな時間になるまで起こしてくれなかったのかと。そうは言っても、家族は夕方帰宅予定だから、面接に間に合うわけがないのだが。  ところが、家中捜しても誰もいなかった。それどころか、両親の部屋のレイアウトが変わっていたり、ダイニングのテーブルが変わっていたり、壁も柱も全体が古びた感じになっている。  いったい、何が起きたのか。
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