人通りが消えた繁華街

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 近所の家の外観は見慣れたものばかりだが、どの家にも電灯が付いていない。周囲は寝静まっているのではなく、誰もいないのではないかという孤独感が、ミユの心の中を冷たい風となって通り過ぎていく。  道路に等間隔に立てられた電柱の街灯がやけに明るく感じる。いつもなら、この明かりの周りに虫が飛び回っているのだが、なぜか今はいない。  ここでミユのお腹が、また空っぽなことを訴える。緊急事態にもかかわらず、この生命活動に必要な生体に生じる現象は容赦しない。  彼女は家に戻り、調理を決意して冷蔵庫を開けたが、中が空っぽだったのには愕然とした。  コンビニで買うとしてもスマホがないので電子決済が使えない。自分がへそくりを隠していそうな場所を探すも、発見できず。  家の中で食料がなく、しかも無一文という初めての体験に、ミユは狼狽する。 「そうだ! あそこのコンビニでマリアが夜間のバイトしているはず! 彼女からお金をいったん借りよう!」  タイムスリップしたのなら、友達がそこで働いている保証などないはずだが、藁をも掴む思いの彼女には、それに気づく余裕などなかった。
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