In Other Words....

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それから僕は公園に通い詰めた。また君に会えるんじゃないかって。 君は僕のヒーローだった。女の子だから、ヒロインが正しいんだけど、でもとにかく本当の意味で「ヒーロー」だったんだよ。でも、実際には君にまた会うまで結構な時間がかかった。君はまるで野良猫みたいにうろうろ、ふらふらしてたから。 結局僕は君の高校まで会いに行ったんだよね。緊張したなぁ。「荒高」の校門で、ポケットに手突っ込んで。その手には君への手紙握りしめてさ。君に会うまでに何人に声をかけられたことか! ホント怖かったんだからね。 やっと君が出てきて、ツンと冷たい澄まし顔でさ。 「ミホ先輩、ミホ先輩」って、女の子いっぱい引き連れてた。 え? 引き連れてたんじゃなくて勝手についてきただけ? はは。君はいろんな人のヒーローで、男子にも女子にもモテモテだったもんね。 とにかく、僕は困った。こんな大勢の前で、手紙なんか渡せないよ。 ところがどっこい。なんと君の方から声をかけてくれたんだよね。「ケガはもういいの?」って。僕は嬉しすぎて、喉が詰まって何も言えなかった。顔を真っ赤にして頷くと、君は「よかったね」って笑った。 今しかない、って思った。今を逃すと、きっともう僕は君に会えないって。だから僕はぐしゃぐしゃの手紙を君に押し付けて、猛ダッシュで逃げ帰った。遠くでね、女の子たちの声がぼんやり聞こえてくるんだ。 「先輩、またお手紙ですか?」 ……君って、ホントよくモテたよね。 その子になんて答えたのか僕は知らないけど、君はお手紙を返してくれたんだ。なんと中学のいじめっ子経由で! ホント恐ろしいことするよね。あの子「あんた、ミホさんの何なの?」ってめちゃくちゃ怯えてたよ。そうして僕はあの「ミホさん」の関係者ってことで一目置かれるようになって、それから二度といじめられなくなった。 え? わかってた? 計画通りって? そうか、僕はまた君に救われていたんだね。ありがとう。大好き。 ねぇ、僕のあの手紙、どうだった? ラブレターのつもりで書いたんだけど。え、ダメ? ハハ。確かにちょっと果たし状感はあったかもね。「また会いたい。ここで待つ」みたいなね。シンプル過ぎたかな。でも中学生にしては頑張った方だよ。 痛ポエム書かないだけマシだよ。
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