1人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
私は今日、地獄に嫁ぐ。
「キャロル、行ってはダメ。殺されてしまうわ。いいえ、死よりももっと残酷な事が……」
「泣かないで、シェイラ姉様」
「やはり私が……」
「姉様。あの男の指名は私よ。大丈夫。全て返討ちにしてやるんだから」
白く透き通るような肌を流れる涙。
その涙を拭ってやり、傷一つない柔らかな手を力強く握る。
優しくか弱かな美しい姉。
犠牲になるのは姉だと思っていた。もし本当に姉が嫁ぐことになっていたら、相討ち覚悟で攻め込んだだろう。
大切なものを全て生まれ育った屋敷に残し、私キャロル・トラバージは、宿敵シリウス・リューゲンに嫁いだ。
最初のコメントを投稿しよう!