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昔々あるところに、貴族の男が住んでおりました。彼は、とある美しい女性に恋をしました。しかし、女性は男には目もくれません。男は恋に悩んで、丘の上に住んでいる錬金術師にこう頼みました。惚れ薬を作ってほしい、と。
錬金術師は天才でしたので、惚れ薬を作りました。こうして男は惚れ薬を手に入れ、意気揚々と丘を下り、街に戻りました。しかし、美しい女性は、すでに他の男と駆け落ちした後でした。
失意の貴族の男は、橋の上で泣きました。そうして、高い金を積んで手に入れた惚れ薬を川に投げ入れ、泣き伏せたということです。
……その川は街の中心を流れていました。惚れ薬は川の水に溶け込みました。街の人々は全員、川の水に溶け込んだ惚れ薬を飲むことになったのです。そして、惚れ薬は街の女性たちに効力を発揮してしまいました。
こうして、丘の上に住む錬金術師は、町に住む女性にモテモテになりました。めでたし、めでたし。
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