第一話 思い立ったが吉日

3/3
29人が本棚に入れています
本棚に追加
/194ページ
 「【挑戦者募集】成功した方には私の財産から100億円プレゼントします。」動画ファイルとどこかへ繋がるURL付きの投稿が10万回も拡散されている。とんでもない額にうさん臭さを感じるが文だけでは気になることだらけなのでナオキは動画を見ることにした。 「こんにちは。オズオワールグループ代表の伊良部和夫です。今日は皆さんにビッグな挑戦を提供させていただきます」  高そうな茶色いスーツに赤いネクタイをつけた50代前半と思われる小太りの男が画面内で話し始めた。  オズオワールグループ?どっかで聞いたことがあるような気がする。太陽光の下で木々をバッグにしていて少しニヤついているのがさらに胡散臭そうだが……。 「信じられないことだと思いますが、この先にある建物には身の毛もよだつ幽霊が住みついているんです。しかもそれは1匹ではありません。複数体いるようです。私は中に入ったことがありませんが建物を所有していた方の話を聞く限りではどうやら本当のようです。…………面白いじゃありませんか。私は今回その建物を買い取りました。」  伊良部と名乗る男は木々のほうへ歩き出して山道を歩きながらゆっくりめに話した。そして日本では見慣れないヨーロッパを感じさせる白い洋館が画面内に見え始めて徐々に全貌を見せる。 「私が提供する挑戦とは、この建物内にいる幽霊の調査、また除霊です。危険も伴う挑戦だと思います……。なぜなら過去にこの建物に入って帰ってこなかった者も存在するからです。それでもチャレンジしてやるという気概がある方はこの投稿の応募ファームから挑戦の意を示してください。挑戦者に選ばれて見事成功させた方には謝礼として私から100億円プレゼントします」  ……ナオキは数秒固まった後、挑戦する方向で検討した。
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!