第二話 言うまでもなく

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 スマホを操る指を止めてだらしなく伸びてきた爪をぼんやり眺め、頭を働かせるのに集中した。  俺には今守るべき妻や子供もいなければ彼女すらいない。さらに挑戦する為に捨てなければならない地位もないし、正直卑しく100億円に群がるのを恥ずかしいと感じるプライドもない。この先の人生の目標は未定という状況なので100億円もらえるのであればありがたく頂いて人の力で勝ち組になりたい。  ダメでもともとだ。応募フォームに繋がるであろうURLを好奇心に任せたまま軽くタップする。  より詳細なことが知りたい。特に募集条件だ。応募フォームというものがあるからにはおそらく誰でも何人でも参加してよいものではないのだろう。グループで参加するのはありなのだろうか?複数人で参加するほうが当然心強い。とは言っても誘って一緒に行ってくれそうな仲の友達がナオキにはいなかった。  応募資格の欄には「20歳以上の勇気ある者 女性可」とだけ書かれていた。  なるほど……選考人数についても未定と……。うーん、とりあえず応募資格は自分にもあるようだが説明不足だ。一番気になっていたところの確認を終えると、上にスワイプして今回の件の説明文をちゃんと読んでみた。
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