4人が本棚に入れています
本棚に追加
「え…あれ、女の子? こんな時間に?!」
帰り道の途中にある小学校の通学路に春樹から見て左側の角のところにある一台の自動販売機にひとりの少女が俯いて立っていたのだ。
顔は見えないが、おそらく小学校低学年くらいの年頃だろうか。
彼女は真紅に染まった頭巾をかぶり、背中にはマゼンタ色のランドセルを背負い、ピンク色のワンピースを身に纏っていた。
春樹は目を疑った。
小学生の女の子がこんな格好で、何故こんな時間に夜中にうろついているのか不思議に思ったのだ。
塾帰りの可能性もあるが、仮にそうだとしても流石に深夜にこんな小さな少女に深夜の街を出歩かせる親は、よほど悪い人ではない限りいないだろう。
春樹はその少女に近寄り、声をかけることにした。
「ねぇ、君。こんな時間に外歩いていたら危ないよ?」
赤いずきんの少女は、春樹の声を聞くや否や、顔を上げた。
その時、春樹は初めて彼女の顔をはっきりと見た。
少女は口元に笑みを浮かべ、こちらを見上げている。可愛らしくはあるが、その表情にはどこか狂気を感じた。
髪型は金髪のおかっぱ、アイスブルーの大きな丸い瞳、陶器のような白い肌、整った形の鼻が特徴のなかなかの美形な顔立ちで、明らかに日本人離れしている。
その西洋系の少女の顔を見た春樹は、戸惑った。
彼は外国人の相手をするのに慣れていないからだった。
最初のコメントを投稿しよう!