2001年宇宙の旅

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2001年宇宙の旅

   はい。今回のお題は1968年制作の『2001年宇宙の旅』です。  鬼才スタンリー・キューブリックの監督作品で、SF映画史にその名が燦然と輝く名作の一つです。その映像美は公開から半世紀が過ぎた現代においても、全く色褪せていません。また今でも社会の様々な部分で、この作品に対するオマージュ的なものを見かける事ができます。  よくSF作家のアーサー・C・クラークの原作小説を、キューブリックが映画化したように思われる本作ですが、実際はこれまでにないSF作品を作りたいという両者の思惑が一致し、双方がアイデアを出し合って作り上げたようです。また真偽は不明ですがキューブリックは、日本の大映が1956年に公開した『宇宙人東京に現わる』を見て、自分もSF映画を作ろうと思い立ったと言われています。  半世紀以上も前の作品ながら、恐ろしいほど繊細で美しい映像である反面、そのストーリーには難解な部分が多くあります。  まず人類の夜明け。人類の祖先であるヒトザルの群れの前にある日、黒い石板(以下モノリス)が出現します。自然物ではないその真っ平な面に触れた時、ヒトザルは骨を道具として使用する事を思いつきます。敵対する群れのヒトザルを殴り殺したその骨を空に放り投げると、それは現在の宇宙空間を進む、軍事衛星へと姿を変えます。  そして月面基地の地下で人類は再びモノリスと遭遇。人類の手で掘り出されたモノリスは、太陽光線を浴びた事で人類が月に到達するまでに進化した事を感知、木星に向けて強力な信号を発しました。それから一年半後、木星探査のため、デビッド・ボウマンを船長とする宇宙船『ディスカバリー』号が、史上最高の人工知能HAL9000型コンピューターを搭載して宇宙を航行しています。  ところが自分の任務に疑問を持ったHAL9000は途中で反乱を起こし、乗組員を殺し始めました。生き残ったボウマン船長はHALの機能を停止させることに成功。たった一人で、モノリスの信号の受信先を調査する任務を継続します。  やがて木星に到着した『ディスカバリー』号は、衛星軌道上に浮かぶ巨大なモノリスに接近、これに接触したボウマンはスターゲイトをくぐり抜け、時間と空間を超越した存在“スターチャイルド”へ進化を遂げる…というもの。  映像に加え、『ツァラトゥストラはかく語りき』をはじめとした、クラシック音楽の使用も素晴らしく、ヴェルヌの『月世界旅行』以来、人々が目指して来たSF映画の頂点の一つであり、まさにSFにとどまらず、映画史全体にその名が残る作品だと思います。  ちなみに『機動戦士ガンダム』に登場する、地球連邦軍の急造宇宙兵器ボールはこの映画の、船外作業ポッドがモチーフになったと言われていますね。  また本作製作時に、キューブリックが手塚治虫氏に美術担当を依頼したものの、多忙を理由に断られたのは有名な話です。  本作には続編として映画化もされた『2010年』と、クラークの小説版ではさらに『2061年宇宙の旅』と、『3001年終局への旅』が執筆されているようです。ただいずれも“パラレルワールド”として描かれているようですが。  そしてまたこような、いつか革命的な作品が現れるのでしょうか。その日を期待していきたいと思います。では今回のお題は、ここまでです(^^)/  
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