ブレードランナー

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ブレードランナー

   『ブレードランナー』は私が一番好きなSF映画です。2019年(!)のアメリカを舞台にし、“レプリカント”と呼ばれるアンドロイドと、“ブレードランナー”と呼ばれる特捜刑事の主人公の戦いを中心に、“我々は何処から来て、何処へ行くのか”という、誰もが追い求める課題を描いた作品です。  社会派SF作家のフィリップ・K・ディックが執筆した、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』という、知る人ぞ知る小説を、映画『エイリアン』で一躍有名になったリドリー・スコットが映像化したものですが、原作小説とはストーリーなどかなり趣が異なっています。  主人公はこの数年前に公開された『スターウォーズ』で、これも一躍有名となったハリソン・フォードが演じていますが、興行収入自体はそれほど振るいませんでした。  ただこの作品が残した未来世界(とはいえ、この原稿を書いている2019年は、まさにブレードランナーの世界における現代なのですが…)のインパクトは、その後のSF作品に計り知れない影響を及ぼし、しかもその影響は今も続いています。  作中のダークでアンチユートピア的な電脳未来世界は、やがて日本で『AKIRA』や『攻殻機動隊』を生み出し、『マトリックス』を経て、未来世界の“鋳型”になりました。工業デザインから身を起こしたデザイナーのシド・ミードの、現実的で骨太な都市と自動車類。『南極物語』などで幻想的な音楽世界を披露したヴァンゲリスといった、一流の人材も脇を固めています。  1980年代の映画なので今なら必ず描かれているであろう、携帯電話などは出てきませんが、それでも今観ても、古臭さはあまり感じません。  また監督のリドリー・スコットも私が大好きな監督で、とにかく知的でありながらも狂気の入った敵役を描くのが上手い!松田優作が演じ、遺作となった『ブラック・レイン』のヤクザや、『グラディエーター』の皇帝などもそうですが、この作品では敵役のレプリカントのリーダーが、完全に主役のハリソンを喰ってしまっています。  なお、本作は再編集を繰り替えして、ラストの解釈が微妙に違う複数のバージョンが存在しています。未見でご興味を持たれた方は、ぜひレンタルなどで。  近年、続編の『ブレードランナー2049』が公開されました。ただ自分的には“なぜ、話をそっちの方向へ持って行ったし?”と感じましたので、ここでは触れません(笑) ではまた次回(*^-^*)  
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