迷走する奔走

1/18
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/116

迷走する奔走

冷静を装い精神的パーソナルスペースをつめれない二人も酒の陽性な不可抗力で余所余所しさは融解の一途をたどった 深みが益しはじめる夜、類似した傷を肴に愉悦な会話が弾む 時刻は0時を過ぎ店を出ると一種の戦友のような連帯感が生まれていた 馬渕がイチョウの形の緑のガードレールにもたれ空を眺めて笑い出した その様相を見て古川も同じように地べたに腰を下ろして空を眺めた ビルとビルの間から長方形の夜空と半欠けの月が熱帯夜を彩っていた 「やべー古川さんオレ立てねぇ」 呂律がギリギリ回っている馬渕が笑いながら嘆いている 「俺もケツがアスファルトに、へばりついて立てねえ」 二人は酔いに任せて無邪気な子供のように笑い馬鹿をしている 「なぁー馬渕、俺たちこのまま狂いながら死ぬのか?」 「狂うねぇ……それも人生だー!!どうせ死ぬんだし」 高らかに叫ぶ酔っ払いの声が投げやりで自暴自棄だとしても古川にとって その言葉が悩まされている幻を今だけ遠ざけてくれた 「そろそろ行こうぜお巡りに注意されたりマスターに出くわしたら情けねえだろ30過ぎたおっさんが」 「そうなんなくても情けねえよ、女に逃げられて抗鬱剤キメテタ過去があるんだし。ヘタレだよまったく」 お互い足元がおぼつかないが馬渕の千鳥足は転んでも顔で受け身をとりそうなので、まだましな古川が馬渕の腕をつかんで帰路についた
/116

最初のコメントを投稿しよう!