第五話 赤と緑

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第五話 赤と緑

 その動機が超・真面目なものだったにせよ、クラスメイトの赤井くんから、彼の姉であり、僕が恋する赤井さんが、毎日、赤いTバックを()いていることを聞かされ、僕の妄想は、毎日、膨らんで膨らんで、膨らみ倒していた。  美味しそう~な、プリンッ! としたピチピチの桃が、赤いTバックを(まと)っているイメージ……。  まだ、僕は、彼女の制服姿しか見たことがない。これまで、彼女が(かも)し出す清楚で真面目な雰囲気から、私服も下着も地味な色しか想像できなかった。  ……って、いやいや、わざわざ『何色のおパンティかな~?』なんて、想像していたわけではない。ましてや、『何色のおパンティを履いてるのか、教えてくれたり、するのかな~?』、『いいとも~ッ!』、な~んて流れにもならないだろうし……。  それにしても、意外や意外! 実際には、ド派手で超セクシーな、真っ赤なTバックを、彼女は身に(まと)っているらしいのだ!  あの紺の地味な制服のスカートの下には、ポッ! と、真っ赤なバラが咲いているのだ!  だけど、名前は、(みどり)! 赤井緑なのだ! 「前から気になってたんだけどさ~」 「はい、何でしょう?」 「赤井くんのお姉ちゃんさ~、何で苗字が、"赤い"、のに、名前、"緑"、なの?」 「アハハ、……だよね~。いや~、実はさ~、両親が、赤いきつねと緑のたぬきの大ファンなんだよ」 「え~ッ! そっから~ッ! でも、奇遇だな~、僕も赤いきつねと緑のたぬき、大好きなんだよね~」 「へぇ~、そうなんだぁ~」 「アハハ、お父様とお母様とも、何だか気が合いそうだな~、僕ちゃん! アハハハハ」 『どん兵衛も大好きなんだけど……』、って言い掛けたが、グッと(こら)えた。 ー 第六話へ、つづく ー
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